“Brooklyn + Japan”

「サステナブルって、おしゃれで、
カッコ良くて、カジュアルなものに
なりえると思います」
- ゆりやんレトリィバァ -

ゆりやんレトリィバァさんと一緒に街歩きをしながら、ブルックリンの最新サステナブル事情を視察しました。ブルックリンのサステナ人と楽しく交流をし、SUSTAINABLE JAPAN展にも来場頂いた後、「ゆりやんさんが出会ったサステナブル」についてお話を伺いました。

‐ 今日ブルックリンを散歩してまずどう思われましたか?

「実は番組で、7年前にブルックリンに3ヶ月滞在させてもらっていたんです。なので、まず空港からブルックリンに来た時のブルックリンの匂いが、懐かしいわ〜という感じでした。ですけど、当時いた時より、いわゆるこのサステナブルなお店とか紹介してもらって、こういう場もあったんだなと非常に感動しました」

‐以前ブルックリンにいた時と変わっていましたか?

「私がちょっと目離した隙に、だいぶ街も変わっているなって、思いました」

 ‐(笑)日本と比較して感じたことはありますか?

「そうですね、まあ日本の地域にもよるかもしれないですが、私は今東京に住んでいて、ニューヨークって…あっ、失礼しました。(いきなり英語発音で)New York City 」 

‐(笑)。

「って、結構あのファッショブルで世界の中心みたいな感じで、各地域のコミュニティも薄いのかなって思っていたんですけど、実はそんなことなくて、地域の人、それぞれが人に優しい感じだなあという風に感じました」

‐ 今日ブルックリンの街を歩いてみて、小さい区域ではありましたが、サステナブルが可能なんだなあという風には感じましたか?

「ブルックリン…失礼しました。(また英語発音で)Brooklyn 」

‐(笑)。

「あの….なんて言いますかね、色んなシステムがすごく素敵だなあと思って。スーパーマーケットのメンバーになったら、そこで2時間45分働くだけで、良い物を安く買えるというシステムとか。街の人同士でコミュニケーションを取って、コミュニティを作って、全てが新しく感じたというか。むしろこれって昔はもっと、何て言うんですかね。私地元がNYC…NYCなんですよ、地元」

‐??

「奈良県吉野町で」

‐(笑)。

「こうも違うかって思ったんですけど(笑)。田舎の近所同士で助け合うみたいのとか、祖父母が、『もったいない、もったいない』って、この袋は大事にしようとか、ティッシュは使いすぎいようにしようとか、物を大事にするとか、食事を残さない、捨てないとか、そういう考えが今薄れつつあると思っていたんですけど、このニューヨークでは、それがおしゃれでカッコよく、ファッショナブルに、スタイリッシュに、活かされているな、という風に思いました」

‐ 街にすぐ溶け込んでいましたよね。人々とのコミュニケーションも取れていて、それが少しびっくりしました。

「うーん、なんか、ニューヨークに….うーん…馴染んでしまっていましたね(笑)」

‐(笑)ご自身が今家でサステナ活動していることとかありますか?

「そうですね。そんなに大々的な活動は、ちょっと恥ずかしながらできていないんですが、ここ最近やっぱり、その、物を大事にしたりとか、ビニール袋、プラスチックバッグをいらないです、って言ったり。できるだけそういう物を使わないように。買い物に行った時も、ロングスカートを履いて行って、『袋けっこうです』って言って、あの、こうやって(実演)スカートにこうやって入れて帰る、っていう風に….したいとは思っています」

‐(笑)まだしてはいないんですよね?

「まだちょっとそこまでは」

‐(笑)あの今回視察してみて、日本に帰った時に取り入れたいと思うようなことはありましたか?気付きはありましたか?

「なんでしょう…とにかくそのびっくりしたのは、石鹸屋さんとか。日本で詰め替えを買う時に、ボトルは買わないけど、詰め替え用を買って、ビニールに入っていて、それを入れてビニールを捨てるみたいな。そっちの方がエコだと思っていたんですけど。容器を自分で好きなのを持って行って、石鹸、ソープの量り売りをしていて、あんなのいいなあって思ったんですよね。あのお店の権利を買って、日本に持って帰りたいです」

‐(笑)それは絶対いい考えだと思います。

「あれ、いいですよね。やっているところもあるのかもしれないですけど、私の知ってる限りではなくて。あれ非常にサステナブルで」

‐容器捨てる時も心が痛いですもんね。

「容器捨てる時も、水で薄めて最後まで使って、みたいにやりますけど。やっぱり容器は捨てちゃいますもんね、どっちみち」

‐ 今回展示されていた日本のサステナ商品を見ていただいたと思いますが、まず、感想お願いします。

「サステナブルって、今日視察に行かしていただいた時も思ったんですけど、リサイクルとか物を大事に、みたいなことだけみたいなイメージがあったんですけど、地元のコミュニティとか昔からのことを大事にするとか、そういうのもサステナブルなんだって。展示場でさらに感じました。例えば、鳥羽の海女さんの昔からのやり方(疲れを取るために海藻が入っているなど)を取り入れた石鹸だったりとか。400年続いてるお味噌屋さんの甘酒が(点滴のような)面白い形で展示されていたりとか。すごかったです」

‐ 各地区で特に気に入った物を1品ずつ言っていたけると嬉しいのですが、まず、鳥羽で気に入ったものがあったら。

「鳥羽は、私、けっこう子供の頃から鳥羽に旅行に連れて行ってもらうことがあって、鳥羽って聞いたら思い出の土地なんですけど。私の思い出なんてどうでもいんですけど(笑)。すいません。えっと靴下を作る時にどうしても捨てないといけない部分、それを使ったマフラーとかが本当にすごいなあと思いまして。それが心に残っていますね。なんか見た目もかわいいし、しっかりしておしゃれなんですけど。

それは普通だったらお金を払って捨てないといけない物を、また何かに作り替えるっていうアイディアとか。(カラフルなマフラーについて)その色弱の方の感性とかスタイルングやデザインで、やられているので。本当に意外な組み合わせとかがさらにまた素敵だったりして、いいなあって思いました」

‐ それでは京都は?

「京都は、京都のブースに来ただけで、京都に来た!って感じで本当に素敵な空間だったんですけど。持たせていただいたバッグがフィルムのゴミからできているっていう。信じられないくらい高級感があって、触り心地も触ったことがないようなしっとりした素材で。色もきれいで。何でも繊維になるな、って。プラスチックとか。そう、それで言うとジャケットです!ダウンジャケットですね。ダウンジャケットがめっちゃ凄かったです。ふたつ言っちゃってすいません(笑)。

ダウンジャケットが、西陣織の素敵な模様で高級感があるし、めっちゃおしゃれなんですけど。あれもペットボトルの繊維からできているんですよね。しかも着せてもらったら暖かかったです。なんか何でも繊維になって、私も繊維になるじゃないかと思っちゃいました」

‐(笑) 「再利用」

‐(笑)倉敷は?

「倉敷さんも、素敵ですよね。デニムとかもパッと目に入りますし。あの触らしていただいた….えええどれかなあ。迷います。色々触らせもらったんですけど。暖取り靴下!」

‐冷え取り?

「(笑)暖取っちゃダメですよね。冷え取り。冷え取り靴下が、本当に素敵で、履かせてもらったら、めっちゃ暖かかったんですよ。

1、2、3、4って段階踏んで履くんですけど、シルクから始まって(最後ウールで覆う)、肌触りが気持ち良いんですけど。4枚重ね履きして、暖かい、プラス、重ね履きしている感じがしない。なんか不思議な感じで、繊維を上手く使って、伝統的な。ここでもやっぱり繊維ですね。すごいです」

‐ 重ねて履いても軽いんですね?

「そうですね。締め付けとかもなくて、素晴らしかったです」

‐ さきほど聞き忘れたんですけど、フードコープに行った時にレジをやったりして、あの会員制の環境の中で実際働く体験をしたりしてどんな感じでしたか?

「アメリカで働いたことがなかったんで、まず嬉しかったのと。なんでしょうか。やっぱり普通のスーパーとは違って、みんな良い物を手に入れたいという、欲だけではなくて、それを提供するために、そこでメンバーになって、2時間ちょっとボランティアで働くってことで。自分たちも買う物だから丁寧にお店にも出せるし、良い物を、しかも高級って意味ではなくて、本当に地元のローカルな物を提供するっていうことで、みんななんか活き活きしているように感じて。やる気ない感じが…結構バイトとかって、やる気なかったりするじゃないですか(笑)。そういうのがないから、パワーがみなぎっていて素敵だなあって思いました」

‐ あそこで働いているという誇りを持っていて、コミュニティがあって良い感じでしたよね。

「コミュニティに属している、って実感することって、大事ですよね」

‐ だからって威張っているわけでもないし。

「むしろ心に余裕を感じた、というか。スーパーってたまに殺伐としている時あるじゃないですか(笑)、時間帯によっては。そういうのも感じませんでしたね」

‐ あの中がサステナブルで成り立っているというか。

「働いていなかったら、商品が残ってしまっても、実感湧かないというか。でもそこのメンバーだったら、これ残ったら大変やろうなとか、ぐちゃぐちゃにしちゃったら店員やってる子が大変やろうな、とか思ったら自然と丁寧に買い物するのかなって」

‐ 日本の商品を今回ブルックリンで見て思ったことをファンの皆さんにメッセージ伝えてください。

「えっと、みなさーん。えっとサステナブルって聞いたら、ちょっと意識高くしなくちゃいけないのかなとか。なんかちょっと自分にはできないなあとか、思っちゃうかもしれないですけど。本当に簡単なこととか、別にできないことってないなあと思いました。むしろおしゃれで、カッコ良くて、カジュアルなものになりえると思います。一緒に、サステナブる?サステナブろ!サステナブってこ~‼」

‐(笑)ありがとうございます。

‐ ご実家では、名入れをされているそうですが、それを贈り物としてもらった方は、一生大事にしたいと思うような特別なものになると思うのですが。サステナブルには、物を使い捨てしないで、大事に長く使うというメッセージもあると思うのですが。そういうことをご実家から感じたりしましたか?

「確かに実家で記念品を作ったりとか、いただいたり贈り物するものに彫刻みたいな感じでさせてもらっているんですけれども。実家の(父の)自営業で。確かにその〜ワインボトルにしても名前を入れるだけで、大事なものって思ってもらえるのかなとか。そう思うと、一個物を大事にするきっかけ、になっていたら嬉しいなあ、という風に思います。実家のその店の名前っていうのが、彫刻の技術はエッチングっていうんですけど、エッチング幸房ソ・レイユって名前なんですけど。コウボウのコウは、図工の”工”じゃなくて、しあわせ=”幸”って書いて、おっさんの感性で当て字なんですけど」

‐(笑)。

「ソ・レイユは、ソとレの間に”・”が入っていて、フランス語らしいんですけど、太陽かひまわりかって言うらしいんですけど、私の家とフランス一切関係ないのに、そんな名前で。(大声で)エッチング幸房ソ・レイユ〜〜〜!!」

‐(爆笑)。今日見ていて英語の能力も素晴らしいですけど、何よりすぐに人が集まってきてしまうコミュニケーターとしての能力が長けていて感動しました。



取材後記
今回ブルックリンに7年ぶりに訪れたというゆりやんさんを見てとにかく驚いた。まずどこに 行っても人が思わず集まってきてしまう自然のオーラの持ち主であること。ご実家の”幸房”が 、「太陽、ひまわり」の意味だと言っていたのも、あながち偶然とも思えないくらいだった。 しかし何より感動したのは、ゆりやんさんのコミュケーション能力の高さだ。もちろんプロと してステージにいつも立っているので、目の前の観客やまたはスクリーンの向こう側の目に見 えない不特定多数の人々と常にコミュケーションを取るのは仕事で、その勘が研ぎ澄まされて いるの当然だ。しかし、久しぶりのアメリカにおいても、その言葉の壁も、文化の壁も 全く感じさせずにコミュニケーションしていく姿には驚愕しかなかった。英語を覚えるきっか けとなったのは、生まれる前の80年代映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』だったと言う のもどこか不思議で面白いし、しかも正式に英語のレッスンを受けたことはないと言うのだ。 友達との会話を通して、つまり本当のコミュニケーションから覚えたということ。取材が終わ ってから、なぜ海外に進出したいと思ったのか?と訊いてみたら、「どこにでも行ける仕事だ から」と答えていたのも素敵だった。何かに縛られることない、自由で柔軟な、果てしない可 能性と才能を目撃させてもらった取材だった。

 

<ゆりやんレトリィバァ プロフィール>

1990年 奈良県生まれ。“吉本興業株式会社”“所属の女性芸人です。
得意の英語を生かしたネタや、人物の特徴をつかんだモノマネ、愛くるしい見た目から非常に人気があり、テレビで観ない日はない程の人気芸人です。
数々の賞レースで優勝しており、バラエティ番組にも引っ張りだこで2020年は年間で500本以上の番組に出演いたしました。
また近年ではドラマ主演やCM、声優さらには、世界的に有名な会社との広告契約を行うなど、大変活躍しております。
2019年には米NBC「アメリカズゴットタレント」に出演し、星条旗の水着で踊る芸は、日本を超え世界中で話題になりました。
2021年にはKTV「R-1グランプリ2021」で優勝をして名実ともに日本一面白い芸人となりました。

2022年11月NY Brooklyn Beauty/Fashion Laboにて
聞き手:中村明美
メイク/ ヘア:AYAKO/Kiyonori SUDO

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